能 谷行 (たにこう)



あらすじ

 今熊野の山伏(阿闍梨)が修行のため峯入(恐らく葛城山へ)する事になり、弟子の今若の家に挨拶に立ち寄ると今若の母は風邪で寝込んでいた。松若は母を元気にするために自分も一緒に峯入したいと阿闍梨に頼み、一度は断った阿闍梨もその熱心さに打たれ同行を許す。
 松若は師匠達と供に途中の一之室(いちのむろ)まで辿り着くが、そこで風邪が悪化してしまう。峯入の掟で風邪を惹いた者は谷行の掟によりそのまま谷底に生きながら埋められる。阿闍梨は必死に松若を助けようと頼むが大法には逆らえず松若は谷底に埋められる。
 阿闍梨はこの上は自分も一緒に谷底に埋めてくれと頼むと仲間達は自分たちの法力で松若を蘇らせようと必死に祈る。すると役行者が伎楽鬼神に命じて松若を掘り出して蘇生させ、そのまま虚空に消え失せる。

 

演者から一言

 ワキ方の重い習曲であり、シテ方主催の会では滅多に出ません。シテは最初と最後だけに登場し、殆どがワキと子方の芝居になりますから子方の大曲と言えます。
 今回はワキをお勤め頂く森 常好師のお孫さんが子方を勤め、お父様の常太郎師と供に森家三代での舞台となります。日頃じっとしているイメージのワキ方が大活躍する曲です。


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