能 碇潜 (いかりかずき)

碇潜1

あらすじ

 平家に所縁の僧が一門の弔いのために壇ノ浦を訪ねる。途中老人の船頭に出逢い経文を聞かせることを船賃として船に乗る。着いた後に僧が軍物語を所望すると、老人は能登守教経が義経を狙ったが八艘飛びで逃げたために討ち漏らし、ついには源氏の兵を両脇に挟んで入水した有様を語って自らの回向を頼んで消え失せる。
 僧が夜もすがら弔っていると軍船に乗った二位殿、大納言の局、平知盛の亡霊が現れ、先帝最後の有様や知盛が碇と共に海に沈んだ平家滅亡の様子を見せ、消え失せる。

碇潜2
碇潜3
演者から一言

 大成版の謡本では後はシテ一人が出て、知盛の最期の有様を描きますが、師匠家や梅若家の本では、最初から作物(つくりもの)が出、先帝入水の部分があります。
 今回は師匠家の寸法で、作物を出しての上演いたします。巨大な碇の作物は少々歌舞伎チックかなとも思います。
 義経は登場しませんが、前段の八艘飛びの描写など、切れ味良く演じたいと思います。


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