旅僧が摂津の国江口の里で遊女江口の君の旧跡に立ち寄り、昔西行法師が宿を断られ「世の中を厭うまでこそ難からめ
仮の宿りを惜しむ君かな」と詠んだ和歌を口ずさむと一人の女が現れ「法師さまを遊女の里に泊められなかったので」と弁解し、自らが江口の君の幽霊と名のり姿を消す。
僧が夜更けに江口の君を弔っていると月夜の川面に屋形船に乗った江口の君が現れ昔の船遊びの様子や遊女の境涯を述べた舞を舞い、やがてその姿は普賢菩薩となって西の空へ消え去った。
能の中でも艶めかしい文章としっとりした風情で楽しむ秋の名曲です。
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