蜀の国の青年廬生は人生いかに生くべきかに悩み、遠く楚の羊飛山に住むと聞く仙人を訪ねようと、旅立つ。 途中邯鄲の宿で雨を避けて宿を取った廬生は、 主人から不思議な枕をすすめられて昼寝をする。 呼び覚まされて起きてみれば、楚国の王になれとの勅使。驚く間も無く輿に乗せられ王宮へ。五十年もの栄華を尽くして、さて枕を叩く音に目覚めてみれば、ところは元の邯鄲の宿。 女御更衣の声と思ったのは松風の音、粟飯炊く間の夢だったと知った廬生は「人生これ夢」と豁然と悟って勇んで故郷に帰る。
人生に迷える青年から帝になり、夢が覚めて元に戻るまでの移り変わりを、いかに謡い分けるかがポイントです。 一畳台の上で舞う「楽」がいかにも百畳敷きの大広間で舞っている様に皆様に見せられるかも、この曲の見所です。 台に飛び込むかはその時の気分ですので、お楽しみに。