都に上ったまま3年も帰ってこない夫を想い、その寂しさを紛らわすために侍女と打つ砧の音……。 そして絶望の淵に沈みこの世を去った妻が、跡を弔う夫の前で見せる地獄の責めの数々。全曲見どころ聞き所の大曲です。
前段の「砧之段」で、シテとツレが作物を挟んで砧を打つ所作が、上手くタイミングを合わせないと面白くなくなる……。 後シテも楽しげに舞ってはまずいし、重くなっては退屈。地謡と囃子が気合いを合わせてシテを盛り立てていきます。