弘文天皇方の急襲を受けた天武天皇は辛うじて吉野山の奥に逃れる。国栖の老人夫婦は鮎を焼き芹を勧めて懇ろにもてなす。 やがて急追の敵勢を、帝を舟に隠すという機転で老人が追い返す。天もこれに感じ、天女が天下って五節の舞を舞い、蔵王権現も出現して添付の御代を祝福する。 壬申の乱の能楽化。 シテが舟を運んだり、間狂言が活躍したり、能の枠を外れた新作能めいた面白さがあります。
初番目脇能物としてはストーリー性に富み、作物の舟を使って帝役の子方を隠したり、追っ手の間狂言とのやり取りなど、芝居がかった演出の多い曲です。 後シテは蔵王権現ですから、いかにも豪快に力強く舞いたいですね。 登場人物も多く、見ていて面白い曲です。