花見好きな都の者、大勢で西山の西行の庵室の桜を見に押掛ける。西行は庭に入れるが、余りの騒々しさに閉口して「花見んと群れつつ人の来るのみぞ あたら桜の咎にぞありける」と歌を詠む。夜半、桜の精が現れ、西行の歌で非難されたことに抗議する。しかし西行の歌に詠まれたことを喜び、舞を舞って夜もすがら楽しむが、夜明けて西行が目覚めて見れば一面の落花であった。老人の遊舞を主題とする幽玄な曲です。
老木の桜の精をシテとする「西行桜」。能・狂言における「老人」の演技についてご覧くださいませ。