一の谷の合戦で薩摩守忠度を討ち取った岡部の六弥太は、尻籠から見付かった短冊を見せに忠度の和歌の師匠藤原俊成を訪ねる。 俊成が弔っていると忠度の亡霊が現れ、千載集に「さざ波や」の歌を「読み人知らず」として選ばれたことを嘆く。 師弟の和歌物語の中戦死者の宿命である修羅の苦患の時刻となり 天帝の神々と戦うが、名歌に梵天王が感動して剣の責めを免れ、夜明けとともに消え去っていく。
類曲に「忠度」があるが、この俊成忠度の方が登場人物も多く、シテの型も動きが多い。謡の難易度としては「忠度」が上だが、あまり出ない曲のため、ツレ・トモと良く打ち合わせをしないと曲全体のバランスが悪くなる。 小品ながら見所も多く私個人としては舞い甲斐のある好きな曲。