「名にし負わばいざ言問はん都鳥我が思う人はありやなしやと」 の歌に因む狂女物。 子供の最期を話す船頭の語りや、母が子の幻を追い求めて涙に咽ぶ姿など、 見所も多い。世阿弥の長男十郎元雅作の代表的な悲劇です。
子供を捜す母親をシテとする狂女物の中で、唯一アンハッピーエンド(子供は死んでいた)の曲。 他の狂女物は、最後に再会の場面があり 次第に軽く・明るくなって終わるが、 この曲は逆に暗く・重苦しくなっていくので、一寸油断するとベタベタにゆっくりになってとても眠たい能になってしまう。 こういう曲は終わったときに万雷の拍手! ではなく、客席がほろり…となると、役者冥利に尽きます。