頼朝の家臣狩野介宗茂は一ノ谷で生け捕られた平重衡を預かっている。そこに頼朝の命により千手の前が慰めのために通ってくるが、重衡は心を開かない。 更に千手から出家も許されぬとの報告を聞き、南都の仏事を焼き討ちした報いと心沈むが、宗茂と千手は酒を勧めて慰める。 やがて興に乗った重衡も琵琶を弾き千手と心通わせるが、無上にも頼朝の命が下り重衡は再び都に送られ、千手はそれを涙ながらに見送る。
「郢曲之舞(えいきょくのまい)」の小書が附くと詞章が変わり、文章の大幅な省略もあります。勤めるシテにとっては謡が減って型が増えるのでまさに「ええきょく」という感じです・・・?(笑) 舞も「序之舞」から「彩色(いろえ)掛かり中之舞」に変わるので囃子の変化もお楽しみください。