名僧玄翁が下野国那須野を通り掛かると、ある石の上を飛ぶ鳥がバタバタと落ちて死ぬのを見る。不審に思って近付こうとすると美しい女が呼び止め、殺生石になった美女玉藻の前(実は印度・中国・日本の王朝を揺がせた妖狐)のことを物語り消え失せる。 玄翁が祈ると、石が割れ、九尾の狐が本性を現し、帝に近付き取り殺そうとしたのを安倍泰成に見破られ、那須野に逃げてきたのを武士達に射止められた次第を仕方噺に見せ、再び殺生をせぬことを誓って消える。
石の作物が大がかりなので狭い鎌倉能舞台では「天地之声」の小書で幕を石に見立てます。 狐の妖怪ですからいかにも切れ味鋭くシャープに舞いたいですね。 前シテが妖艶なお姉様って感じが出せれば良いのですが。