ある僧、都東北員のあたりで、子供が捉えて殺そうとしていた鳶を助けてやる。庵室へ戻った僧のもとへ1人の山伏が訪れ、生命を助けて貰った礼を言い、返礼に何でも望みを叶えようと言う。僧は、この世の望みはないが、釈迦霊鷲山での説法のさまをひとめ拝みたいという。
山伏(実は天狗)は、お安いご用だがほんのパノラマをお見せするのだからくれぐれも拝んでくれるなと固く約束させ、消え失せる。さて僧が約束の場所に赴き、閉じた目を開けると、僧の前に荘厳な釈迦の説法が展開されている。
あまりのありがたさに随喜の涙をこぼした僧が思わず拝んでしまうと、神聖な仏法を天狗ごときが玩んだと怒った帝釈天が駆けつけ、幻の大会を滅茶苦茶にし、天狗を痛めつける。
天狗は平身低頭詫び、こそこそと谷間に消え失せる。
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