平家の公達忠度は和歌の上手として知られ、その歌は和歌の師藤原俊成卿によって「千載集」にも取り入れられた。しかし平家は朝敵となったためにその歌は「詠み人知らず」とされ、忠度の名は削られた。 武将でありながら、討たれたことよりもそのことを妄執の第一と俊成に告げる、修羅物の中でも特色のある曲。
前シテの謡が難しい曲で、ツヨ吟・ヨワ吟の謡分けに神経を使います。 後シテも自分で謡いながらの型が多い上に、腰に差した矢が抜けなかったり、短冊を取り損なったりというつまらないミスが出やすい曲です。 落ち着いて、型に謡が引きずられないよう気を入れて舞いたいと思っています。