大和国龍田明神に参詣の旅僧が薄氷の張る龍田川を渡ろうとすると一人の女が声を掛け「龍田川 紅葉乱れて 流るめり 渡らば錦 中や絶えなん」と言う古歌を引いて無理に渡るなと止める。僧が今は紅葉も薄氷の下では無いかと言うと「龍田川 紅葉を閉ずる 薄氷 渡らばそれも 中や絶えなん」の歌もあり紅葉の時期には渡るなと教え、自分は神巫と名乗り僧を明神に案内する。そこで紅葉が当社の神木である謂われを教え我こそ龍田姫であると名乗って姿を消す。その夜僧が神前で待っていると神殿から龍田姫が現れ瀧祭の神徳を語り神楽を舞って昇天する。
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