東国から上京の旅僧が 六条河原の院の旧跡で、一人の汐汲みに出会う。 海岸でもないのにと不審すると、ここは昔融の大臣(おとど)が塩釜の浦を写したところで、汐汲みがいても不思議ではないと答える。辺りの名所を教え、汐を汲むと見えて消え失せる。 所の人の話に合点した旅僧が弔っていると、融の大臣が在りし世の姿で現れて 昔の豪奢風流のさまを見せ夜明けと供に消え去って行く。 秋と月の叙情詩としてあまりにも有名な名曲です。
前シテの桶の扱いに一工夫したいと思っています。いろんな型があるので上手く潮を汲む工夫に、直前まで悩みそうです。 「十三段之舞」という小書きで、後の舞がとても長くなる(二十五分くらい!)ので 前シテの謡は 少しカットします。決してサボッた訳ではありません…。 舞は黄渉調で五段、盤渉調で五段、急之舞で三段の計十三段です。 いかに優雅に面白く舞うかがポイントで、囃子方との技比べの感じです。体力勝負の所もあり、最後まで気の抜けない大曲。