能 仲光 (なかみつ)

 

あらすじ

 多田満仲(源満仲)は、摂津国中山寺へ預けている嫡子【ちゃくし】美女丸が、武芸に傾倒して学芸は不熱心だと聞き、臣下の藤原仲光に連れ戻すよう命じた。満仲の前で美女丸は、学問や管弦を試されるが全くできない。激怒し手討ちにしようとするも仲光に止められた満仲は、美女丸を斬るよう命じる。困窮する仲光へ、仲光の子幸壽は身代わりに自分の首を斬り、その首を差し出すよう提案する。すると、美女丸も我が身の事と自らを斬るよう申し出る。恩愛の二道に迷った末、仲光は我が子を手に掛け、美女丸を遠く比叡山に逃がす。仲光が美女丸を討った事を報告すると、満仲は幸壽を嫡嗣【ちゃくし】にすると言う。再び仲光が困り果てていると、比叡山の恵心僧都が美女丸を連れて来る。僧都のとりなしにより美女丸は許され、仲光は僧都の所望に応えて酒宴にて舞を舞う。やがて美女丸は僧都と共に都へ向かう。それを我が子幸壽がその供ならば…と、仲光は涙ながらに見送る。

演者から一言

 本音を申しますと、今の時代にはそぐわない時代錯誤な物語だと思います。しかし、芝居としては良く出来た台本であり、演技のし甲斐もある大曲です。子方が二人登場する、物語があまりに暗いという点で滅多に出ませんが、せっかくの機会ですので気合いを入れて勤めたいと思います。


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