三熊野参詣をした臣下が都に帰る途中、難波の里の梅の木陰を老若二人の男が掃き清めているのを見かける。臣下は梅は名木かと尋ねると老人は古今集にも詠まれた難波の梅と答え、夜もすがら舞楽をも奏すと言うので臣下がその名を尋ねると、男は梅の精、老人はこの和歌を詠じた王仁と告げて消え失せる。 その月夜の元に王仁と木華開耶姫(このはなさくやひめ)の霊が現れ様々の舞曲を奏して万歳の御代を讃える。
「高砂」「弓八幡」を眞之神舞物と言うのに対してこの曲は草之神舞物と言います。脇能で花を主題とした曲は珍しく、颯爽とした中にもゆったりとした風情で勤められればと思います。