唐の湘水(しょうすい)に庵を構える僧が毎晩読経をしていると一人の女が庵の外でそれを聞いている。ある夜、女に何者かと尋ねると女は「近所の物ですが仏縁を授けて下さい」と言うので庵に招き経を読むと女は「経の力で草木も成仏できます。実は私は芭蕉の精です」と言い姿を消す。その夜僧が経を読んでいると芭蕉の精が再び表れ報謝の舞を舞い秋風に吹かれて消え失せる。
大小序之舞を舞う三番目鬘物で紅無の装束はこの曲だけです。草木の中でも脆いイメージの芭蕉の精をいかに丁寧にべたつかずに演じられるかがを考えています。「ゆっくり」では無く「しっかり」勤めたいと思います。