吉野の男が南都西大寺の辺りで拾った少年を連れて嵯峨野の大念仏に来ると、一人の狂女が来て念仏の音頭を取り舞い狂う。 やがて正気に戻った女は仏前に手を合わせ我が子との再来を願う。 拾った子供はその姿を見て母と気づくが、男は声を掛け信心を勧め、女は勧めに従って法楽の舞を舞う。 興に乗って舞い狂う姿を哀れに思い、男は子供を母に引き合わせ、親子は喜び故郷に帰っていく。
世阿弥作と言われますが、原曲の「嵯峨物狂」は最も古い曲の一つで、能としてはかなり「動く」曲で、シテとすれば「忙しい」イメージの曲です。 間狂言も当時の「ヲカシ」のイメージで単なる場つなぎではなく重要な役所を担っています。