能 松虫 (まつむし)

matumusi

あらすじ

 摂津国阿倍野の市で酒を売る男。いつも大勢できて、酒宴をして帰る男達の中で、「松虫の音に友を偲ぶ」と言った男が居たので、その謂われを尋ねる。男は、昔二人の男がこの松原を通りかかったとき、松虫の音に心を引かれて、草むらに分け入り、そのまま帰らぬ人となった・・・もう一人は、泣きながらその死骸を埋めたが、今でも彼を慕ってここに現れる。我こそがその男の幽霊と名乗り消え失せる。
 その夜、酒売りの市人が回向をしていると、男の亡霊が現れて、昔を偲び、松虫の音に興じて舞を舞い、名残を惜しみながら夜明けと友に姿を消す。
 秋の風情と男同士の友情(愛情?)を描いた異色の曲です。

matumusi
演者から一言

 前シテは直面で、大勢のツレを伴って現れます。笠の扱いが結構厄介で、手間取らないように気をつけないといけません。謡もしっとりとは謡いたいのですが、あまり弱々しいのも具合が悪いですね。
 後シテは、黄渉早舞を舞うので、男舞ほど力強くなく、しっとりかつ颯爽と舞いたいです。
難しいテーマの曲なので、じっくり取り組みたいですね。


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