摂津国阿倍野の市で酒を売る男。いつも大勢できて、酒宴をして帰る男達の中で、「松虫の音に友を偲ぶ」と言った男が居たので、その謂われを尋ねる。男は、昔二人の男がこの松原を通りかかったとき、松虫の音に心を引かれて、草むらに分け入り、そのまま帰らぬ人となった・・・もう一人は、泣きながらその死骸を埋めたが、今でも彼を慕ってここに現れる。我こそがその男の幽霊と名乗り消え失せる。
その夜、酒売りの市人が回向をしていると、男の亡霊が現れて、昔を偲び、松虫の音に興じて舞を舞い、名残を惜しみながら夜明けと友に姿を消す。
秋の風情と男同士の友情(愛情?)を描いた異色の曲です。
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