京都、大原の良忍上人が、大和国耳成山の麓で所の者から、香具山・耳成山・畝傍山を三山と呼ぶと教わる。
そこに一人の女が現れ、香具山は男、耳成山と 畝傍山は女と教え、昔、香具山に住む膳公成(かしわでのきんなり)が、畝傍山に住む桜子と、耳成山に住む桂子の二道に通っていたが、華やかな桜子を公成が選んだために桂子がこの池に身を投げた、
と語りその身も池に消え失せる。
夜もすがら、上人が回向をしていると、桜子の幽霊が現れ、成仏を望むが、そこに桂子の幽霊が現れ、花の咲く桜の華やかさに
花の咲かぬ桂が負けたと、桜子に後妻打ち(うわなりうち)をするが、上人の回向によ、り因果の恨みも晴れ、二人の姿は飛鳥川に夢と消える。 |