能 弱法師 (よろぼし)

yorobosi

あらすじ

 河内国高安の里の左衛門尉道俊は他人の讒言で我が子俊徳丸を追い出した。道俊は俊徳丸の二世安楽の為に一七日の施行を天王寺で行い、その施行に悲嘆のあまり盲目となった俊徳丸も杖を頼りに天王寺まで辿り着き施行を受ける。道俊は程なく我が子と気づくが人目をはばかり夜を待とうと俊徳丸に日想観(天王寺の鳥居の向こうに沈む夕日の彼方に西方浄土を拝む)を勧め、俊徳丸も日想観をなし、また見えない目で境内をよろめきながら歩く様を弱法師と人々に嘲笑される。やがて夜も更け道俊と俊徳丸は互いに名乗り共に高安の里に帰って行く。

演者から一言

 盲目の曲は数番ありますが、これほど杖をついて動き回る曲はありません。また、「蝉丸」と違って生まれついての盲目ではないので「見えない怖さ」を謡や型で表現することが大切です。天王寺までの道のりを杖を頼りに歩く様などは「どんどん歩きたくても歩けない」我慢大会の気分です。


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