唐の玄宗皇帝の妃、楊貴妃は傾国の美女としてあまりに有名。
その生涯を美しくうたい上げた叙事詩、白楽天の長恨歌もまた日本人にもっとも好まれた詩の一つで、この曲は長恨歌の後半約三分の一を能楽化したもの。
楊貴妃を失った玄宗皇帝が、嘆きに沈んでいるのを見兼ねた方士(仙人)は、はるばる東方海上蓬来が島太真殿を訪れ、楊貴妃の魂に会って帝の気持ちを伝える。
貴妃は感泣し、方士は証拠にと二人の愛の言葉を尋ね、「天にあらば比翼の鳥、地にあらば連理の枝」と教わる。
貴妃は釵をつけて思い出の霓裳羽衣の曲を舞い、方士にその釵を託して、帰還を涙ながらに見送る。
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