口論から人を殺した清次に牢屋から逃げられた九州松浦の何某は、妻を代わりに牢に入れる。女は牢の中で狂気し、驚いた何某は牢から出そうとするが、女は愛する夫の代わりなのだから出ないと居座る。 その心に感じて夫を許すと女は牢から出て、掛けてあった時守の鼓を打って気を紛らわすうちに再び狂気となり、夫に恋い焦がれて牢に閉じこもる。 何某は一層感動して夫婦の赦免を神明に誓うと女は夫の居所を教えやがて末睦ましく暮らす。 異色の狂女物です。
殆どシテの一人芝居なので謡も型も工夫が必要です。間狂言も習いで小品ながら見どころ聞き所の多い名曲です。