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◇◇◇ 能楽入門[知っておきたい能の話]◇◇◇
Nov.1st.2000 【Vol.001】 マガジンID: 0000049577
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日本の伝統芸能-「能」-について、基本的な解説と、雑学を交えて、気楽に学んでいただく入門編です。
おすすめの能公演情報も、合わせて掲載します。(鎌倉能舞台主催のもの)
(参考文献 中森晶三著「能のすすめ」-玉川選書-、同著「能の物語再発見」 -たちばな出版- 他)
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◇もくじ
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1.「能って何?」
2.「能の源流」
◇ 秋のおすすめ公演
◇ 能の雑学
◇ 編集後記
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1.能とは
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能は今からおよそ650年前に生まれた現存世界最古の古典演劇です。
しかもた だ古いだけでなくその当時の台本・演出をそのまま伝え、能面・装束までもが今もなお実際の使用に耐えうると言う特殊な演劇なのです。
多くの演劇は、最初は斬新でも、社会が変わり、道徳・通念が変われば、やがて観客に飽きられ、新しい形態へ変わらざるを得ないという宿命を背負っています。
しかし能は650年もの間、舞台・台本・能面・装束・楽器・演出・作曲・振り付け ・セリフの発声・発音まで、昔の面影をきわめて色濃く残し、ないしはそのまま
使用できる、という世界でもきわめて珍しい演劇です。
その原因は、数々の奇跡ともいうべき出来事によります。後述の「能の歴史」「 能と日本語」でゆっくりお話しすることにしますが、
まず、ただの一演劇集団に過 ぎなかった結崎座が、将軍足利義満をスポンサーとしてGETしたこと。
また、能 ではなく新興勢力の幸若舞(人間五十年~で有名です)を贔屓にしていた織田信長が天下を取れずに、能キチガイといわれた豊臣秀吉が天下を収めたこと。
さら に徳川幕府が能を武家式楽と定め、接待・饗応・儀式の公式芸能にした、ということが、重要なポイントです。
まあ今の日本人の殆どの人が「能は退屈で難解で、見たって退屈な演劇」 と思っていると思いますが、当時(室町時代)の能というものは、流行の最先端
を行く前衛演劇だったということを覚えておいて下さい。
この後の文章でその誤 解を解きつつ能の魅力をお伝えしたいと思います。
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2.能の源流
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日本の芸能の源流の第一に「神楽(かぐら)」といわれるがあります。この神楽は現代の神社の「おかぐら」とは異なるもので、遠い祖先の抱いていた、八百万の神への祈りとして「舞をなす」行為だったといわれています。
形の整った芸能の源流としては、大陸から渡ってきた「雅楽」があげられます。
しかし、日本人の心はみやびな雅楽より、歌あり踊りあり寸劇あり曲芸ありの俗楽「散楽」の方を好んだようです。
もうひとつ忘れてならない源流のひとつに「声明(しょうみょう)=宗教芸能」 があります。
お経の唱和、楽器演奏、舞踊などの僧侶達の芸事は、宗教芸能として庶民の心をとらえたのです。
このように、神楽、散楽、声明という三つの源流が互いに影響しあい、混血しあって、日本の数々の芸能-今様(いまよう)、催馬楽(さいばら)、宴曲(えん
きょく)、郢曲(えいきょく)、風流(ふりゅう)、白拍子(しらびょうし)、 田楽(でんがく)、申楽(さるがく)などを生み出しました。
その中で、頂点に立ったのが、能の創世者、大和猿楽結崎座の観阿弥清次だったのです。
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◇秋のおすすめ能公演
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東京公演別会「月の能」
日時:11月19日(日)午後1時はじめ
場所:国立能楽堂(JR千駄ヶ谷駅下車徒歩10分)
入場料:正面指定10.000円/脇・中自由席6.000円
問い合わせ:鎌倉能舞台(0467-22-5557)http://www.nohbutai.com
-番組-
講演 月の能 増田正造
☆能 通小町-雨夜之伝-観世喜之
狂言 月見座頭 山本則直
☆能 融-十三段之舞- 中森貫太
月尽くしの番組をお楽しみ下さい。
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◇能の雑学-チケットの手に入れ方-
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能のチケットの手に入れ方がわからない、という電話を頂くことがあります。
昔は、出演する先生が弟子にキップを売りつけるのが主な販売方法で、一般にはほ
とんどチケットは出回らないという、閉鎖的な公演が多かったようです。
しかし、昨今では、チケットぴあに販売を委託したり、インタ-ネットのホ-ムペ-ジに公演情報を載せ予約も受け付けているところもあって、自分の見たい日にち、あるいは演目、あるいは出演者名等で、選んでチケットを入手できるようになっています。
ただ、演目によっては、とってもヘビ-でマイナ-な曲だったり、とても長い長い、通ムキの番組構成だったりすることもあるので、
初めて能を見てみよう、という方は、チケットを購入する前に、その窓口で初心者向けの公演かどうか、確認 なさった方が無難だと思います。
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◇編集後記
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能についての解説書は数あまたあり、奥をきわめれば限りないという現状の中、 今更入門書でもないとは思いましたが、HPに基礎的な解説を載せて欲しいという
ご意見もあり、だったらついでにメルマガも出してしまおうという、勢いで初めてしまいました。
続けていけるよう、努力したいと思います。ご意見、ご要望など、HPに掲示板もございますので、お寄せいただければ幸いです。
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発行者 事務局@鎌倉能舞台
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