(舞台の図面図がこちらにありますので、参照してください。)
(1)舞台・・俗に3間(5.4メ−トル)四方とされるが、京間(柱の内法)、標準間(心心)、田舎間(外法)の差があります。
(2)後座(あとざ)または横板・囃子座・・囃子方、公演のスペ−ス。奥行7尺(2.1メ−トル)から9尺(2.7メ−トル)あります。
(3)地謡座・・庇がかかり、欄干がめぐらされている。地謡の他、ワキ方が一時くつろいだりします。
(4)橋懸(はしがかり)・・長さは自由(3間〜7間)、幅も8尺(2.4メ−トル)から6尺(1.8メ−トル)といろいろです。両側に欄干を持ち、途中2本の中柱がある。舞台に対する角度は20度〜35度くらい。通路でもあり、第二舞台でもあります。 床は檜材。厚さ1寸八部以上。長さ3間余の無節の板は上でも述べたように、今日大変な貴重品です。床は束(つか)がなく、三間かけ渡し、太鼓の一枚革のようなのが理想で、振動を止めないように根太を尖らせてあります。床下に甕が10個内外置いてあり、不快な低音を消します。 舞台、橋懸の床は俗に「撥転ばし」といわれる傾斜がつけてあり、登場の時はしっかり、幕に引くときは軽くという配慮の他、遠くで小さく、近づくにつれ大きく見える効果もあります。3本の松もこれを助けます。
(5)幕口(揚幕)・・楽屋(鏡の間)との区切りで高さは9尺以上。幕の色は緑、赤、紫、の3色が基本となっているが、それに白と黄色を加えた5色幕のものも多くあります。
(6)目付柱・・演技の目印として大事なのでこの名がついています。角の柱とも、単に「角」ともいいます。
(7)ワキ柱(大臣柱)・・ワキが常にこの柱の側に位置するところからこの名があります。大臣はワキ方の代表的な役の一つなので、別名を大臣柱ともいいます。
(8)シテ柱・・ワキと対角線の位置にシテが位置することが多いのでこう呼ばれます。演技上目付柱と並ぶ大事な目標となります。
(9)笛柱・・囃子方の先頭、笛が座を占める近くなので笛柱と呼ばれます。道成寺の鐘の引き綱を留める環がついています。
(10)白州梯子・・正面に掛かるこの小梯子は、舞台から落ちた演者の救急用にもなります。もともとは、将軍家の催しで若年寄がここから上がって開演を命じたり、引き出物を与えたりするために付けられていたようです。
(11)鏡板・・不変の背景として老松の絵が描かれます。神が松を憑代(よりしろ)として現れた神木(影向の松−ようごうのまつ−)を象ったもの。「久」の字を裏返して逆さに立てた形の枝ぶりにするという口伝があります。笛柱側には竹の絵を描きます。舞台の後の地面から生えている心なので、ともに根は描きません。松葉目という呼称は歌舞伎の言葉です。
(12)切戸口・・竹羽目の奥にある引き戸。地謡が出入りします。また、切られ役がここから引く事から俗に臆病口ともいいます。
(13)貴人口・・切戸はかがんで通るが、ここはふつうの高さの開き戸。今は実際には使われていません。
(14)後見柱(狂言柱)・・これを挟んで舞台側に後見、橋懸側に間狂言が座ります。
(15)白州・・舞台が野外にあった名残で、玉石または白砂を敷き詰めてあります。橋懸の両側に松を植え、舞台に近い方から順に一の松、二の松、三の松と呼びます。
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